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県大も、最初の卒業式を迎えた。正確にいえば、旧国際短大から編入した学生の卒業式が、去年あったのだが、四大になってからは初めてである。
こちらも大学教授一年生でスタートしたから、卒業式を迎えて、感無量である。
もちろん全部の学生を見知っているわけではない。ぼくの担当教科を選択してくれた学生は、だいたいレポートなどで名前を知っているが、顔と一致するわけではない。もっとも親しくなったのは、指導演習というゼミを持ったので、その学生たちである。
二年生のゼミだから、専門科目ではない。ぼくの裁量にまかされたゼミである。なるべく社会へ出て、役に立つようなことを教えたいので、レポートは厳しく提出させた。本業の文筆家に戻って添削して返すのが原則だが、忙しいと採点だけに終わってしまったりした。
授業では、書かせるのが基本だが、そのほかディベートなどもやらせる。これは、学内の講習を受けた。アメリカ仕込みの先生から、要領を教えてもらい、さっそく採用することに決めた。日本人は、議論が苦手なのだ。ディベートは、かならずしも信念をぶつけあうわけではない。訓練としてやるわけだから、たとえば、年金の負担増に賛成、反対というようなテーマで、双方のグループに分けて、議論を戦わせるのだ。なんとしても、相手を言い負かせたほうが勝ちになる。日本人も、屁理屈でもいいからこねまくって、相手を言いくるめる技術を習得しなければならない時代である。
コミュニケーションも大切なので、学期ごとにコンパをやる。一回は外で食べる。学生たちは、バイトやら部活やらで、けっこう忙しいので、早めに予告してやらないといけない。最低限の会費だけとって、あとは負担してやることが望ましい。開学の直後、いい気になって、おごってやったことがあるが、これは同僚の教授にたしなめられた。学生にもプライドがある。妙なオブリゲーションを与えるだけで、好ましくないという。なるほどと納得して、今の方法に改めた。
高級なところへ行くより、場所代のかからない店がいい。焼き肉店、居酒屋など、話やすい場所を選ぶことにしている。
もう一回は、自宅の官舎で行なう。刺し身などを取って、あとは家内の手料理になる。我が家は、韓国びいきだから、韓国料理やキムチなども加わる。毎年、ゼミ生には韓国の留学生がいる。喜んでくれるのを肴に、日韓比較文化論など、教室ではできない議論を戦わせたりする。
学生それぞれに思い出がある。バイクで転んで、入院した学生もいる。びっくりして浜田病院へ駆けつけたが、幸い、たいしたことはなかった。こっちもライダーだから、珍しく説教がましいことを口にした。 今となっては、いい思い出である。
コンパで酔っぱらって、店のトイレの水道管に倒れかかり、菅をへし折って、トイレを水びたしにした学生もいる。こっちは、引率教員として、平謝りになった。
こういう学生も、記憶から消せない思い出になる。
ともあれ、おめでとう。
新学期、また新しいゼミの学生と対面し、新しい授業が始まるのだ。
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