韓流ブームに一言

豊田 有恒

 いまさらのようだが、「冬ソナ」ブームは、止まるところを知らない。そこで、今回は韓国がらみの話題で行こう。トリビアに出題したら、なんへーくらいになるか知らないが、もともと「冬のソナタ」というタイトルではなかったのだ。初めて「冬のソナタ」に出くわしたのは、そうとう以前のことである。韓国の新聞の芸能欄に「キョウル・ヨンガ」という番組のことが出ていた。ご存じのように韓国語は、今はハングル表記が普通になっているから、韓国風の発音から漢字を類推しないと、意味が判らない。「キョウル」は冬で、これは、すぐ判る。問題は「ヨンガ」のほうだ。まっさきに思いつく単語は、演歌である。だが、どうも、おかしい。「冬の演歌」では、ラブストーリーのタイトルらしくない。そこで、考えた。もしかしたら、恋歌(れんか)でないかと考えた。日本語では恋歌(れんか)とは、ふつう言わない。恋歌(こいうた)と読むだろう。恋歌(れんか)を、韓国の漢字音で「ヨンガ」と読むのである。その「冬の恋歌」が、日本では、誰が命名したのか、「冬のソナタ」になった。もしかしたら、日本で大ヒットした理由は、この日本題のせいかもしれない。
 舞台となったのは、春川(チュンチョン)という地方都市である。ブームになる遥か以前に行ったことがある。江原道(カンウォンド)の道都、日本で言えば県庁所在地だから、それなりの規模の都市ではあるが、べつだん観光地というわけではない。特徴と言えば、ダムくらいのものだろう。当時、ソウルでも名物になりかけていたものに、マッククスという春川の麺類がある。ダムとマッククスくらいしか特徴のない地方都市なのだ。そこへ、日本のおばさん連中が、大挙して押し寄せているというから、時代が変わったものである。
 きのうきょうの韓国ファンでないと自認しているから、いささか厭味なことを書いてしまったが、「冬ソナ」効果は、それなりにプラス面もあるだろう。二千億円という経済効果があるそうだが、日本人の対韓認識をおおいに改めさせたことは、それ相応に評価していい点だろう。
 「冬ソナ」効果は、さっそく県大にも影響を及ぼしている。入試の面接に当たって、興味のある国、あるいは学びたい外国語のトップに、韓国が上げられる。県大には、NEAR(北東アジア地域)センターという研究機関があり、北東アジア、環日本海圏の国々を対象として、研究分析が進められている。英語以外の外国語では、ロシア語、中国語、韓国語などから、一ヵ国語を選択できる。去年までは中国語と答える受験生が多かったのだが、今年は様変わりして、韓国語が圧倒的になった。理由を聞いてみると、受験生も想定問答集などで準備しているのだろう、たいてい、もっともらしい答えをするが、なかには親が「冬ソナ」に熱中しているから、といった自主性のない答えをする学生も少なくない。とんだところで「冬ソナ」効果にでくわし、こっちも驚いたりする。
 ヨン様ブームだそうだが、先日、ペって、どんな漢字ですかと尋ねられて、またまた驚かされた。裴(はい)という漢字を、韓国語の音ではペと読むのである。念のため、解説しておこう。
 熱しやすく覚めやすい日本人のことだから、いつまで続くのか判らないが、当分のあいだ、韓流ブームの行方を静観するしかなさそうである。

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